October 7, 2011

Will Bankhead ~ インタビュー ~

Mo' Waxにてメイン・ヴィジュアル・ディレクターとしてそのキャリアをスタートさせたpalace skateboardsのメインデザインを担当するWill Bankheadのインタビューがダンスミュージックサイト "RA"(日本版)に紹介されました。全てコピペですが、パレスの独特なグラフィックに興味が有る方は是非ご覧下さい。

そして本日、M Event Space & Bar にて "RA"主催Will Bankheadを含むのアーティスト達のショーが開催される様です。
Date: 10月7日(金)-15日(土)
Time:
日〜木 18:00 - 02:00
金・土 18:00 - 04:00

※10 月7日(金)20:00 – 0:00 レセプションパーティー


Honest Jon's、Mo Waxでの印象的なスリーヴ・アートを手掛けるデザイナーWill Bankheadがそのキャリアを振り返る。

多くのデザイナーが世に出るときには、大抵の場合すでに長年の修練によってそれぞれに固有の特徴的な スタイルが出来上がっているものだが、Will Bankheadに関して言えばそれはあてはまらないようだ。Willはむしろ、そのキャリアの中でしばしば自らのアプローチを再考し柔軟に変化させてき た。Mo' Waxにおけるメイン・ヴィジュアル・ディレクターとしてそのキャリアをスタートさせた彼はBen Drury、Swifty、そしてかのFutura 2000らと働きながら90年代中盤のダンスミュージックにおける最も印象深いレコード・アートワークを数多く手掛けてきたのだ。所謂「トリップ・ホッ プ」の代表格レーベルとして知られたMo' Waxのアートワークを振り返ってみると、Willが手掛けた彼の初期デザインワークのほとんどはTransworld SkateboardingやThrasherといったスケートボード・マガジンのそれから多大なインスピレーションを受けていることが分かるはずだ。

Mo' Waxでの仕事を経て、現在の彼はHonest Jon'sで数多くのデザインを手掛けている。それが異国の音楽をまとめたアーカイヴであろうと、最先鋭のエクスペリメンタル・ミュージックであろうと彼 のシンプルでクリーンなデザイン・ワークは冴え渡り、それらは過去にMo' Waxで手掛けた密度の高いデザインと比較したときにまさしく好対照な対比を見せる。その証拠に、Honest Jon'sからリリースされたシャンガーン・エレクトロのコンピやShackletonのジャケットを見てみるといい。彼の手掛けるデザインは今やUKの ベースミュージック・コミュニティからも受け入れられ賞賛されているのだ。Joy OrbisonのレーベルDoldrumsからリリースされるレコードはBankheadのアートワークを纏っているし、Hessle Audioのコンピレーション『116 & Rising』も同様だ。さらに、Bankheadは自身のblog、レーベル、そして自身の作品を販売するストアを統合したサイトTrilogy Tapesを運営し、多岐の分野に広がる彼の興味対象がひとつのまとまったパッケージとして提示されているのだ。ローマでのRA Xパーティーのためのポスター作成を彼に依頼するにあたり、RA Xのポスターはもちろん彼の過去の作品群についても話を聞いた。


「Torsten(Pröfrock)がHonest Jon'sからレコードを出すとき、そのジャケットを僕が手掛けることが出来て嬉しかった。僕は彼がTraktorって名義でリリースしている頃からの ファンだったし、彼のレコードをFat Catで初めて見つけたときは『ベルリンにはこんなサウンドを作るヤツがいるのか!』って感じでめちゃくちゃ興味をそそられたもの。サウンドは狂っていた し、すごく抽象的なグラフィックだったしね。Traktorのレコードに関してはほんと中毒みたいになって、レコードショップで『このレコードは一体な に?すごいよね』なんて言ってたもんさ。つまるところ、僕のデザイナーとしてのゴールもそこなんだ。つまり、僕が本当に好きなデザインは、それがデザイン という意図のもとに作られていないものなんだよ。先週もいくつかスリーヴの仕事をやったけど、正直なところあんまり気に入ってないんだ。まだまだ「デザイ ンされてる」って感じだからね。でも、例えばActressみたいなアーティストは幾何学的なかたちにハマっているらしく、僕のデザインにもそうした要素 を提案してくるからおもしろいけどね」
「僕の初仕事はGlobal Communicationのスリーヴデザインだった。でも、その頃いちばん多くの作品を作ったのはやっぱりMo' Waxだったよね。James Lavelleって人はほんと狂ってて、すべてをオモチャ的な何かに転化させたがるところがあった。Mo' Waxで最初に僕一人で手掛けたのはSam Severの「What's That Sound?」ってレコード。ちょっとピンボケ気味のポータブル・ターンテーブルの写真が使われててね。そのポータブル・ターンテーブルは僕の持ち物だっ たんだけど、実は今でも持ってるんだ。当時はコンピューターなんかなかったから、現像用の暗室の中でひたすら作業してた。写真引き伸ばし機を使ってグラ フィックを作るのにハマってて、アセテートで文字を作っては引き伸ばし機に貼付けたり、紙の上でいじりまくったりしたもんさ。Mo' Wax時代はとにかくずっと忙しかったね」
「僕が運営してるTrilogy Tapesはblogとショップが一緒になったものなんだ。ミシガンのノイズ・ミュージック・シーンで活躍したHansonのようなレーベルにインスパイ アされてね。僕はあらゆる種類の音楽マニアでもあるから、あくまでもノイズはその広い好みの一部でしかないけどね。次にリリースするのはKassem Mosseのテープさ。わざわざテープというフォーマットでリリースするのも、単純に愉しみのためさ(笑)。音楽への愛があるからこそなせる業だね。他に もいくつかリリースを控えてるものもあって、Dro Careyのヴァイナルもそのひとつ。Dro Careyは僕がシカゴのジュークやフットワークのヴィデオをYouTubeで探していたときに出会って、他のどのDJにも似てないトラックだったからす ごく惹き付けられたんだ。で、他にどんなトラックを作っているのか聴いてみたくなったから、彼にコンタクトをとってみたってわけさ」




「Joy Orbisonに初めて会った時のことは憶えてるよ。BerghainでのHonest Jon'sのパーティーだった。彼が『えっ、あのTrilogy Tapesをやってるのはあなたなの?』って話しかけてきて『キミこそどうしてそれを知ってるの?』って言ったら、『Trilogy Tapesはホント好きで、あなたさえよければ僕のレーベルのアートワークもやってくれるといいな』って感じになってね。たしかHessle Audioの連中もJoy Orbisonを通じて知り合ったんじゃないかな。BenのDJはめちゃめちゃ狂ってるし、めちゃめちゃ良いよ。彼らのためのデザインを考えるのは僕に とってもなかなかの苦労だったよ。彼らが好きな要素と、僕のアイデアのなかにある要素の間でうまく折り合いを付けなきゃいけなかったからね。彼らが僕に仕 事を依頼してきてくれたことは本当に嬉しいよ。若い世代が僕のやってることに興味を持ってくれてる、ってことでもあるわけだしね。でも、彼らがBPMって もんをどんな風に捉えてるのかはちょっと理解しかねるところがあるな。あまりにも狭いBPMの範囲にこだわりすぎてるんじゃないかなと思うんだ。単純に僕 が年寄りになったってことかな(笑)。でも、昔はもうちょっとみんな自由にやってた気がするんだけどな」